拙者、ゴルフ侍と申す。
「大は小を兼ねる」という言葉を知っているか?
「 小さいものより大きいもののほうが使い道が広く役に立つ」という意味だ。
ゴルフでも同じことが言えるのだが、ゴルフ初心者は全く正反対のことを頑張っている。
「小」をいくら練習したところで、「大」の代用にはならない。
あまりにも不憫(ふびん)なので、拙者がその勘違いを解いてやろう。
ゴルフで陥りがちな勘違い
小は大を兼ねない
ゴルフ練習場によくいるアマチュアゴルファー。
ゴルフレッスンは「小さいスイングからコツコツと」がセオリーだ。
真面目な人ほど、この教えを忠実に守っている。
無駄とは言わないが、非効率的な練習方法であることに気付いていない。
以下、解説しよう。
①腰から腰のスイング
宮里道場の教えでは、この腰から腰の「30ヤードアプローチ」が基本だ。
ショットの全てはこの幅で決まるので、これを極めれば全てのショットが改善するとの理論である。
宮里藍プロが世界ランクNo.1を獲得しただけあって、説得力は十分だ。
②肩から肩のスイング
坂田塾の教えでは、この肩から肩の「ショートスイング」が基本だ。
特に6番アイアンだけを練習していれば、全てのクラブで打てるようになるとの触れ込みだ。
理論が徹底していて、嫌いじゃない。
学生時代にはお世話になった理論である。
③フルスイング
ゴルフ雑誌のメインコンテンツは、プロの連続写真だ。
男子プロから女子プロまで、ほぼドライバーのショットが毎号掲載されている。
憧れのゴルファーのスイングがあろうものなら、少しでも近付かんと練習にも精が出る。
以上のスイングを①→②→③の順番で行った時にどうなるか。
はっきり言って、全てのスイングは別物だ。
①で腰のスイングをマスターしたところで、②で肩まで腕を上げていく際、完全にスイング軌道が変わってしまう。
②から③へとスイングを変える際にも同じことが言える。
もしこれで違和感なくスイングができるのであれば、優れた鈍感力の持ち主だ。
そのまま続けていれば、上達していくかもしれぬ。
しかし拙者を含めた一般人は、この3タイプのスイングを頑張って覚えていかなければならない。
ゴルフクラブはパターを除いて13本を使えるので、(13本×3タイプ)の39通りものスイングを練習しなければならない。
こんな練習をしていて、上達が早くなると思うか?
もっと頭を使って練習方法を考えていかなければならない。
小は大を兼ねない。
小は小でしかない。
中は中、大は大だ。
大は小を兼ねる
昔のことわざは非常にためになる。
先人達は物事の道理をきちんと後世に伝えてくれている。
この「大は小を兼ねる」という言葉。
ゴルフに当てはめると、以下のような数式が当てはまる。
①フルスイング > ②肩から肩のスイング > ③腰から腰のスイング
当たり前の話で恐縮でござる。
①のフルスイングが、最大のスイングとなる。
このフルスイングで上手く打てるようになった暁には、②の肩のスイングも容易にマスターできる。
本当だ。
フルスイングというのは、最もミート率が低くなるスイングである。
そのスイングでミート率を高く打てるようになれば、フルショットは免許皆伝。
諸君のスイングはほぼ完成している。
そのスイングをベースに、スイングの幅を小さくしたり、ゴルフクラブを変えたりしても、自分でも驚くべきことに芯に当てることができる。
これが良いところは、フルショットでスイング作りをしているので、飛ばすスイングが身に付きやすいことだ。
一方、アプローチからスイング作りをするならば、飛ばすスイングよりもミート率が上がるスイングとなり、飛距離のポテンシャルを引き上げることはできない。
きっといつかはその距離に満足できなくなる。
フルショットの練習をし始めて、開眼をしてしまったら悩ましいぞ。
その飛距離を得たことと引き換えに、今まで基礎にしてきたスイングがぼろぼろに破壊されているからだ。
「破壊」と「再生」を繰り返すことになり、非常に無駄が生まれてしまう。
そんな馬鹿なことはせずに、最初からフルショットでスイング作りをすれば良いのだ。
まとめ
以上、ゴルフにおける「大は小を兼ねる」について解説してみた。
「大」はフルショット、「小」はアプローチ。
フルショットを極めてから、アプローチを練習し始めてもいい。
フルショットのほうが断然に楽しいし、ゴルフに飽きることがない。
どうしても「小」からスイング作りをしたいという者よ。
飛距離が犠牲となり、方向性とショートゲームだけで生きるしかなくなるぞ。
飛距離について、決して愚痴には出さぬこと。
多くのアマチュアが選ぶ道は、所詮それなりのレベルにしか到達しない。
一握りの上級者となるには、少数派の選択をしなければ辿りつけない。
その選択は、間違いなく厳しく辛いのだ。
(ゴルフ侍)