拙者、ゴルフ侍と申す。
シングルゴルファーを増やすために日々、情報発信を続けている。
先日、Twitterのゴルフ界隈において「マッスルバック」の是非を問う議論が巻き起こった。
事の発端は「初心者はマッスルバックに手を出すべきではない」という主張だっただろうか。
それに対して「初心者でもマッスルバックを打てる!」という内容の反論があり、互いに罵倒し合うような形で炎上し、そして発言者が相手をブロックするという形で終結した。
今回の件は「マッスルバック」という存在をゴルファーに再認識させるために大変有意義な議論であった。
「マッスルバックは是か非か?」
こちらのテーマについて、諸君も是非考えて頂きたい。
1:拙者のアイアン経歴
マッスルバックについて語る前に、まず拙者のアイアン経歴を語らねばなるまい。
振り返ってみると、これまで4セットのアイアンを経験してきた。
最初はキャビティー、その後は一貫してマッスルバックだ。
我ながら、なかなか硬派なゴルフ人生を送っている。
<拙者のアイアン経歴>
①(2000年)テーラーメイド バーナースーパースチールアイアン
②(2003年)テーラーメイド rac FORGED IRONS
③(2010年)テーラーメイド TP MB IRONS SMOKE
④(2016年)ミズノ MP-5
1.1:(2000年)テーラーメイド バーナースーパースチールアイアン
拙者がゴルフを始めたのは高校2年生。
年齢にして16歳である。
最初は祖父のホンマのアイアンを譲り受けていたが、本格的にゴルフを始めるに当たって購入したのが、テーラーメイドの「バーナースーパースチール」である。
今、思い返してみると懐かしい。
当時はテーラーメイドのメタルドライバーが一世風靡していた時代であり、ドライバーの「バーナースーパースチール」に合わせて、アイアンも同系列で選んだのである。
ヘッドタイプとしてはキャビティに属しており、一般的なヘッド形状よりは横長のシャローフェースであった。
拙者はこのアイアンからスタートし、90前後のレベルまで到達することができた。
しかし当時はまだ知識も経験もなかったので、良し悪しを判断するレベルにはなかった。
1.2:(2003年)テーラーメイド rac FORGED IRONS
https://www.taylormadegolf.jp/PreviousModel_Irons_2003.html
2003年、拙者が大学3年生の時だっただろうか。
テーラーメイドからマッスルバックのアイアンが登場した。
時代としてはテーラーメイドが大人気であった「300シリーズ」から「racシリーズ」へとブランド展開をしていた頃である。
画像を見て頂ければ分かる通り、ペラッペラの鉄の塊だ。
購入したきっかけは、「バーナー」というアマチュア仕様に満足ができなくなったため。
安定して70台を出すために、敢えてプロも使うとされるマッスルバックに足を踏み入れたかったのである。
当初は芯を外すと全く飛ばないという仕様に苦労したが、今のスイングはマッスルバックが教えてくれたと言っても過言ではない。
1.3:テーラーメイド TP MB IRONS SMOKE
https://www.taylormadegolf.jp/PreviousModel_Irons_2010.html
大学を卒業してからもしばらくは前作のマッスルバックを愛用していた。
その期間、およそ7年。
機能性・デザインなど、全てにおいて満足していたが、1点問題があった。
それはクラブの老朽化。
ゴルフ部での年間100ラウンドを考えると、かなり物持ちのいい方だろう。
もうフェース面はボロボロであった。
そんな状況下、テーラーメイドから新モデル発表のタイミングが重なった。
前作との変更点はデザイン性である。
「ツアープリファード」というテーラーメイドのお墨付きが入り、ブラックの艶消しという、ひいき目に見ても格好良かった。
前モデルとの流れも汲みつつ、所有欲を満たしてくれる最高の逸品であった。
1.4:(2016年)ミズノ MP-5
写真を見て頂ければ、その造形美を感じて頂けるだろう。
まるで切れ味鋭い日本刀のようだ。
ミズノといえば、筋金入りの正統派ブランドである。
今まではテーラーメイドという外国ブランドしか選択肢がなかったのだが、国産ブランドのミズノに突然心を奪われた。
テーラーメイドのマッスルバックが丸みを帯びたヘッド形状であるのに対して、目に映る全てのラインが直線的であり、目標に対する方向性をより際立たせていた。
更には拙者の三代目アイアンよりもヘッドが少し大きくて安心感があり、実際に試打してみても飛距離が出ていたことが最後の後押しとなった。
現在でも、そのアイアンの所有者であることに誇りを持っている。
2:マッスルバックの功罪
2.1:マッスルバックのメリット
マッスルバックのメリットは以下の3点である。
<マッスルバックのメリット>
①操作性が良い
②飛距離のコントロールがしやすい
③抜けが良い
①操作性が良い
マッスルバックの最大メリットは「球を曲げやすい」ことである。
ヘッドが小さいため、フェースの開閉がしやすい。
フックやスライスは当たり前、その曲がり幅もコントロールできるようになれば、大きな武器になることは間違いない。
②飛距離のコントロールがしやすい
アイアンは「飛ばす」クラブではなく、狙ったところに「運ぶ」クラブである。
マッスルバックであれば、決して飛び過ぎることがない。
そしてフェースのどこに当てるかで、飛距離をコントロールすることができる。
③抜けが良い
マッスルバックの特徴として「ソールが薄い」ことが挙げられる。
これによりラフからの抜けが抜群に良くなる。
アマチュアが体験するラフの長さでは、その恩恵は感じられないかもしれないが、プロのセッティングともなるとその差は段違いである。
長いラフからでもグリーンを狙える機能性は、マッスルバックだけが持っている。
2.2:マッスルバックのデメリット
マッスルバックのデメリットは以下の3点である。
<マッスルバックのデメリット>
①球が曲がる
②芯が小さい
③ソールが薄くて滑らない
①球が曲がる
「球が曲げやすい」ということは、「球が曲がってしまう」ということ。
少しでもフェースが開くとスライスし、フェースが閉じるとフックする。
キャビティと比較すると、マッスルバックは大変にシビアである。
②芯が小さい
マッスルバックの芯は極端に小さい。
芯を外せば、20~30ヤードも飛距離が落ちることも珍しくない。
まずは芯に当てるスイングが身についていないと、その飛距離の落ち具合は凄まじく、マッスルバックに幻滅してしまうことだろう。
③ソールが薄くて滑らない
アイアンはソールのバンスを上手く使えば簡単になる。
しかしソールが薄いマッスルバックでは、バンスが効かずに刃先から地面にアタックすることになる。
必然的にダウンブローで球をヒットしないことには、ダフってしまって球は飛ばないことだろう。
3:まとめ
以上、マッスルバックのメリット・デメリットを解説した。
<メリット>
①操作性が良い
②飛距離のコントロールがしやすい
③抜けが良い
<デメリット>
①球が曲がる
②芯が小さい
③ソールが薄くて滑らない
勘の良い人は気付いただろうが、メリット・デメリットは表裏一体である。
①方向性:曲げたいか、曲げたくないか
②距離感:距離を微調整したいか、距離を一定化したいか
③機能性:ラフからの抜けを取るか、ソールの滑りを取るか
こうした特性を理解し、自分のスタイルに合ったアイアンを選べば良い。
もちろん憧れや格好良さなど、直感で選ぶことも否定しない。
そうした動機はゴルフの熱量を上げるのにきっと役立つはずだ。